前回に続き、
「Sleep, Sleep, Sleep / クリスティアン・ベネディクト , ミンナ・トゥーンベリエル , 鈴木ファストアーベント理恵(訳)」
を基に睡眠と健康についてご紹介します。
今回の記事をより深めるために「睡眠不足だとなぜ体重が増えるのか」を解説した
前回の記事を先に読むことをオススメします。
糖尿病を防げるか、睡眠が果たす決定的な役割
悪い睡眠が血糖値を上げやすくする
深い睡眠ができていない人、
睡眠時間が足りていない人、
昼夜が逆転して昼間に寝てる人、
このような人は全員インスリン感受性が鈍くなり
血糖値が上がりやすいことがわかっています。
昼間に寝ている人は、夜に同じ時間眠った場合と比べて30%もインスリン感受性が低くなるそうです。
ではなぜ、このようなことが起こるのか。
前回の記事で、
「睡眠不足になると身体が夜の分のエネルギーも蓄えようとする。つまり太りやすくなる。」
と説明しました。
実は、身体に起こる反応はこれだけではないのです。
夜中も活動して疲れた脳が、あらゆる手段で糖(=エネルギー)を獲得しようとします。
その手段とは【筋肉が使うはずだった糖を奪う】こと。
脳は副腎皮質を通してコルチゾールの分泌を促す説があります。
コルチゾールとは、血糖値を上げたりタンパク質・脂質の代謝に関わるホルモン。
また、ストレスから身を守ろうとする「ストレスホルモン」としても働いています。
脳はコルチゾールを出すことで
「筋肉はブドウ糖を使うな!」
というメッセージを送ります。
しかし本来は
筋肉が血液中のブドウ糖を吸収することで、血糖値を正常に保っています。
筋肉がブドウ糖を吸収しなければ、血糖値は上昇するというメカニズムなのです。

睡眠不足で筋肉が分解される
コルチゾールがタンパク質に出すメッセージは「ブドウ糖を使うな!」だけではありません。
コルチゾール量が長期的に増えると
「筋肉からブドウ糖を作って!」という指令まで出すのです。
「ブドウ糖不足なんだ!」と思っているコルチゾールは
とにかくブドウ糖を増やす、血糖値を上げるために尽力します。
実際は夜に起きているだけで、そこまでブドウ糖不足ではないのに。
また、睡眠不足だと
筋肉を作るテストステロンの分泌も悪くなります。
その結果、筋肉が分解される一方で、新しい筋肉が付きにくい体質になってしまうのです。
新しい筋肉はつきにくいのに、新しい脂肪はつきやすい体になってしまいます。
なんという悪循環・・・。
睡眠も考慮できる管理栄養士になろう
私たち管理栄養士が提供する「健康」は、
食だけでは成り立ちません。
食×運動×睡眠×メンタル・・・
生活の中のあらゆる要素が複雑に絡んでいます。
食だけにこだわるのではなく、その人の生活全体を考えられると
QOLがよりアップすることでしょう!
興味の幅を広げて一緒にレベルアップしていきましょう!!
▼参考著書