今回は食事から少し離れて睡眠についてです。
睡眠をトピックに選んだ理由は「身体のすべてに関わっているから」。
健康にも、感情にも、知能にも。
睡眠を知らずして健康については語れません。
今回参考にした本はこちら。
「Sleep, Sleep, Sleep / クリスティアン・ベネディクト , ミンナ・トゥーンベリエル , 鈴木ファストアーベント理恵(訳)」
クリスティアン・ベネディクトさんは、スウェーデンで睡眠について研究し国際的睡眠研究組織「Sliip Science Lav」を主宰する神経学者。
ミンナ・トゥーンベリエルさんは健康問題を20年追ったヘルス・ジャーナリスト。健康メディア「SPRINGTIME]編集長。
この本はそんな睡眠の最前線にいる2人が「今、知っていること」を全てまとめた本です。
睡眠に関するありとあらゆることが書かれています。
7時間未満の睡眠で肥満リスク50%増
これは睡眠7時間を境界として行った研究結果。
睡眠時間が6時間の人はたった1時間の差で肥満リスクが50%も上がることがわかっています。
今回は、その理由を「代謝」と「ホルモン」の2つにのポイントで解説します。
食べた物は熱になる -食事誘発性熱産生-
代謝(たいしゃ、metaboilsm)とは、生体内で生じる全ての化学変化とエネルギー変換のことです。
今回はその中でも特に、栄養を熱に変える「食事誘発性熱産生」に注目します。
なぜなら睡眠に影響を受けるから。
食事誘発性熱産生は代謝の中の約5~10%ですが、
エネルギーをうまく熱に変えて体温として消費している人は太りにくくなります。
反対に、この食事誘発性熱産生が低い人は、
食べた栄養を熱に変えるのではなく脂肪として蓄え太りやすくなっています。
大事なことは熱産生量は一日の中で変動します。
活動量が多く体温も高い日中は熱産生量は多くなり、
睡眠の準備にはいる時間は体温を下げるために熱産生量が減っていきます。
そう考えると、寝不足の時は活動時間が多いから熱産生量が増えそうに思えます。
ですが残念、実際はその逆。
睡眠時間が不足すると翌朝の熱産生量が20%低下します。
つまり、熱を作りにくくなります。
なぜかというと、
【夜の活動エネルギーを蓄えるため】。
身体はかしこいです。
寝不足は起きている時間が長いため、寝るだけに比べ使うエネルギーが多くなります。
そうすると身体はまた夜にエネルギーを使うかもしれない!蓄えておかなきゃ!!と貯める思考にシフトします。また衝動買いするかもしれない!お金貯めておかなきゃ!と似た思考ですね。実際溜まるのは脂肪ですが。
以上をまとめると、寝不足だと身体はエネルギーをためる(脂肪をつける)ようになり
熱産生能力が低くなる。よって太りやすくなってしまいます。
食欲のコントロールができなくなる
そもそも食欲は、私たちの意志で決めていません。
お腹がすいた、何か食べたい、お腹いっぱい、もう食べなくていい・・・
これらは【ホルモン】によってコントロールされています。
しかし、寝不足だとこのホルモンがうまく作用しなくなってしまうのです。
①食欲を増進が止まらない
これは胃で分泌する「グレリン」というホルモンがより多く産生されるためです。
止まらない食欲の原因ですね。
②満腹感がない
寝不足だと食欲が増進するだけでなく、満腹を感じにくくなります。
なぜなら腸から脳に満腹を知らせる「GLP-1」の分泌が遅くなるからです。
そのためいつも以上に「食べたい」気持ちが止まらなくなってしまいます。
③食欲を抑制できなくなる
わたしたちは夜中に「レプチン」というホルモンが出るおかげで、”空腹で目が覚めること”を防いでいます。本来であれば、朝になるとこのホルモンが少なくなるため、起きてから食欲が出てきます。ところが、寝不足だとレプチンが1日中出が悪くなるため、夜でも空腹を感じてしまうのです。
これらのホルモンの作用により、寝不足後は高カロリーのものを欲するようになってしまいます。
ものすごい負のスパイラルですね。
しかし、甘いのもを食べてしまうのも、脂っこいものを食べてしまうのも決してあなたの意志が弱いからではありません。無意識に体が欲しているのです。
とはいて、欲するがままに食べると肥満、糖尿病へと繋がっていきます。
では、わたしたちはどうすればいいのか。
簡単です。日付が変わる前にベッドに入り、7~9時間眠りましょう。

眠れないあなたへ
睡眠がいかに重要かわかったけども眠れないんだよ~という人もいるでしょう。
そんな人は頭の中がごちゃごちゃの可能性があります。
今日言われたことが気になったり、明日のプレゼンに緊張したり、友達と喧嘩したり・・・。
まずは、頭の中の整理をしましょう。
①「眠れない問題」を特定すること。何について気になっているのか、何を心配しているのか等。
②ポジティブにとらえる。眠れない人は少しでも寝れたら褒めてあげましょう。最初から7時間を目指す必要はありません。
③明日のことが気になる場合は「明日やることリスト」を書きだそう。翌日のことを書き出すと、眠りに入りやすくなることが分かっています。
④暗い部屋で、携帯も見ずに、ただ横になりましょう。
例え起きていても、外からの情報がシャットアウトされると脳は休むことができます。
眠れなくても、横になるだけでいいのです。寝れないから動画を見るなんてことは絶対にやめましょう。
食事と睡眠は繋がっている
生活習慣病について、ダイエットについて考えるときどうしても食事内容に目が行きがちです。
しかし、その食欲の原因は睡眠不足かもしれません。
食事×睡眠×運動は単体ではなくすべて繋がっています。
そして身体の健康だけでなく、心や賢さにも影響を与えます。
身体は本当に奥が深いですね。
参考著書では、さらにメンタルの影響や夢についても書かれています。
ぜひ読んでみてください!!