脳神経外科医が伝える糖質制限の極意

ブックレポート

今回から「脳神経外科医が教える糖質制限 ホントの話」(医師 石原信一郎著)を紹介していきます。

外科医にして糖質制限での血糖コントロールをはじめとした、栄養状態を重視した治療を行っていらっしゃいます。

そんな石原先生が力説する糖質制限の極意を勉強していきましょう。

この本では糖質制限はただ糖質を抑えるだけではありません。

糖質制限をやってみたけど、疲れが取れない・肌が荒れた等トラブルが起きた人も少なくありません。

でもそれは、何かしらの理由があります。

この理由をはっきりさせ、対策を立てることが重要です。

起こりうる不調の原因・対策方法が解説されています。

糖とは何者か。

「三大栄養素の1つであり、体のエネルギーになるもの」

これが多くの人が持つ認識でしょう。

では体のエネルギーになるとはどういうことか。

わたしたちは体や体の機能を動かすエネルギー源として糖質と脂質の2パターンを使っています。

ただし、同じエネルギーでもエネルギーを作る方法が異なっています。

細胞内の小難しい話は長くなってしまうので概要を説明します。

気になる方はぜひグーグル先生に”糖質 代謝方法”と聞いてみてください。

糖質は、消化・吸収され血液中に入り、そこからさらに細胞に取り込まれていきます。

そして今すぐ必要であればエネルギーを作り(解糖系)、

今は大丈夫であれば蓄えを作り(グリコーゲン合成)、

細胞を増やすときにはその材料づくりを(ペントースリン酸回路)

しています。

解糖系では100mダッシュなどの瞬発的な運動のためや、日常生活を送るためのエネルギーを作っています。

一方、脂質は長距離マラソンなど長時間の運動のためのエネルギーを作っています。

同じエネルギーを作るのに、糖質の半分の量で済むので効率的なんですよね。

糖を蓄えていいことはない

飢餓のリスクが当たり前だった時代は、糖の蓄えは命に繋がっていました。

しかし、ベッドの上でも生活できるぐらいの現代では糖は体の中で余っています。

糖を取り込んだ際に必要でなければ、蓄えられると先述しました。

この蓄えはまず、筋肉と肝臓でグリコーゲンというすぐエネルギーになれる態勢で保管されます。

ただしこの2つはそこまで容量がありません。

そのためこの2つがキャパオーバーになれば、今度は皮下脂肪・内臓脂肪となって蓄えが増えていくのです。

またさらに糖質が増えていくと、今度は肝臓で脂肪としての蓄えを始めます。

これが脂肪肝です。

ものすごく仕事をしているハイスペック肝臓に脂肪がつくと

肝臓にとってはめちゃくちゃ仕事の邪魔になります。

それでも脂肪は使われない限り居座るので、肝臓の機能が落ちていきます。

これがあまった糖質が行き着く先です。

お気づきでしょうか。

糖質は、余ると”脂肪”に変化するのです。

スタートする悪循環

悪循環のスターターは、ズバリ内臓脂肪。

内臓脂肪がもともとあった(正常時は必要な)脂肪細胞に影響を与えます。

脂肪細胞は生理活性物質(アディポサイトカイン)を出して、

体のさまざまな調整をしています。

内臓脂肪によりこのアディポサイトカインのバランスが悪くなることで

肝臓に炎症が起きたり、血圧・血糖値が上げたりして

動脈硬化を進行させます。

これは脳梗塞や心筋梗塞に繋がりますね。

さらに、アディポサイトカインのバランスの悪化は

血液中の糖を細胞の中に取り込むという

インスリンの働きを鈍くします。

血液中に糖はいっぱいあるのに、細胞に取り込めなてないのです。

すると、現場を知らない脳はインスリンが足りてないからだと勘違いし、

インスリンを大量投入します。

質ではなく数で解決しようとするわけです。

しかし、今度はインスリンが大量にいることで腎臓や神経に影響を及ぼします。

そんな他がやばい状態でも、

司令塔の脳に大事な糖と腎臓や肝臓の実態は届いていないので、

脳は最終手段の自分で糖を作れと命じます。

いっぱいあるのに。

糖はどんどん増えるのに対し、

インスリンはどんどん仕事ができなくなり、

血糖値が高い状態が続くのが糖尿病です。

(糖がいっぱいあるのに筋肉から糖を作れとかいうので糖尿病の人はほっそりした人も多くいらっしゃいます)

この糖尿病、血糖値が高い状態は認知症やがんへと発展していきます。

この悪循環・ドミノ倒しがスタートすることを

皆さんご存じ「メタボリックシンドローム」と呼ぶのです。

馴染みの言葉の割には結構怖いです。

メタボリックシンドロームの改善&予防策

ここまで怖い話をすると、

メタボは治るのか、予防できるのかが不安になります。

ご安心を。

多くの場合正しく痩せれば改善します。

正しく痩せれば。

ここでいう正しくは、

「必要な栄養素を取りながら、血糖値を下げること」

と定義しましょう。

糖質制限をすると、

  • 減量がうまくいかない
  • 肌荒れ、アトピーの悪化、筋力低下
  • だるい、眠値、集中力の低下

になる人が一定数います。

でもこれは、決して糖質制限のせいだけではありません。

改善すべきポイントがあります。

次回以降、その点を解説していきます。

糖質制限の極意を学んでいきましょう!!

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